スーパーサイズ・ミーから学ぶサステナビリティの本質とは(グリーンウォッシュとSDGsウォッシュ、そしてサプライチェーンという武器)
- スーパーサイズ・ミーの続編を観てみた
- スーパーサイズ・ミーをサステナビリティの観点から考えてみる
- 消費者はグリーンウォッシュとSDGsウォッシュという武器を持とう
- サプライチェーンにこだわることがあなた自信を守る第一歩だ
にんじんまんです。
言わずと知れたアメリカの映画で、
マクドナルドを1ヶ月ひたすら食べ続けるとどうなるか、を監督自身が実証実験をする映画だ。
結論は言わずもがな、複数の医療関係者たちから
「やめたほうがいい、このままいくと死んでしまうよ」
みたいな事を言われるわけだ。
スーパーサイズ・ミーの続編を観てみた
さてこのスーパーサイズ・ミーの続編がAmazon Primeで観ることができたので、
早速息子と観てみた。
言わずもがな、息子4歳はニワトリやひよこが出ている箇所だけ興味を示し、
あとは何が何だかわからないようだったが。
映画の内容としては、
- 前回のスーパーサイズ・ミーを作ってからアメリカは変わったのか
- いや変わっていない
- 相変わらずファーストフードに魅了された人々だらけで
- 肥満や病気で苦しむアメリカ人は減らない
- そこで父の言葉を思い出す
- 「真実を知りたければそこの一部になってみることだ」←厳密な言葉は忘れたがそんな感じの言葉だった
- そこで自身でファーストフード店を開店させてみることにした
- 準備していくとファーストフード店(ひいてはアメリカの食全体)に関するサプライチェーン上の問題や誇大広告の問題が浮き彫りになった
といったものだ。
スーパーサイズ・ミーをサステナビリティの観点から考えてみる
サステナビリティに仕事で携わる身として、2つの点に注目して考えてみる。
- 鶏肉業界における食料調達の99%が5つの大企業に牛耳られており、養鶏業者が苦しんでいること(=サステナビリティの観点から考えると、「不正取引や寡占の問題」、「人権問題」に繋がっている)
- ファーストフード店を経営する企業は、「ナチュラル」や「フレッシュ」「シンプル」といった表現で商品をコミュニケーションするが、それらは健康を謳っているようで実際は消費者を騙していること(=サステナビリティの観点から考えると、グリーンウォッシュである)
前者についてはここでは特に記述するまでもないと思うが、
後者の「グリーンウォッシュ」について少し触れたい。
グリーンウォッシュとは、
実際はそうでないにも関わらず、広告などで環境に良いように思いこませること
を指す。
スーパーサイズ・ミー ホーリーチキンでは、
- お店の外観を緑を貴重にすることでナチュラルな印象を持たせる
- お店の入り口や窓・壁に書かれた様々な言葉が環境に対する好印象を持たせる
- CMなどで「フレッシュ」「ナチュラル」を連発することで何だか身体に優しい物を食べた気になる
といったような表現が出てくる。
結論としては、「フレッシュ」「ナチュラル」など様々な表現は企業側の戦略の1つであり、明確な定義があるものではもちろんない。
つまりは、大した意味は持たないので消費者は注意すべし、ということだ。
消費者はグリーンウォッシュとSDGsウォッシュという武器を持とう
さてグリーンウォッシュに話を戻そう。
このグリーンウォッシュを発端にして、SDGsウォッシュという言葉も徐々にサステナビリティ界で定着してきている。
今やSDGsという言葉は巷に溢れてきている(実際はそんなことないかもしれない)と思うが、
グリーンウォッシュ同様に、安易にSDGsを謳うことは、実は大きな問題を抱えているのだ。
つまりは、企業側は消費者にイメージを刷り込もうとして、
様々な媒体を使って自由にかつ巧妙に消費者に対してコミュニケーションをする。
戦略的に。
この状況で、消費者は裸一貫ではもちろん太刀打ちできない。
もちろん太刀打ちなどしなくても良い、というならそれまでだが、
本当に自分自身が、また自分の大切な家族や周りの人たちが健康に、幸せに暮らせるようにしたいのであれば、
今すぐにでも武器を持つべきである。
その武器こそがグリーンウォッシュ、SDGsウォッシュ、である。
では消費者はどのようにしてその企業や企業の広告・コミュニケーションを
「グリーンウォッシュかどうか」「SDGsウォッシュかどうか」を判断すれば良いのだろうか。
サプライチェーンにこだわることがあなた自信を守る第一歩だ
慶應卒三人ブログの仲間Pokotaくんが別の記事で書いてくれているように、
サプライチェーンがわかりやすい判断材料の1つになる。
keiosotsuno3nin.hatenablog.com
ワインの場合は、原材料がどこから調達され、どこで製造されて、どのように保管され運ばれてきたかという、サプライチェーンについての情報が、どうやら付加価値となるらしい。他にも、無農薬の野菜を例にあげると、生産者の農家が何度も破産しながら、苦労して作った野菜の方が、なぜか価値を感じる。本当は、破産していない農家の方が経営が上手いはずなので、そちらの商品の方が品質がよさそうだが…。
いずれにせよ、そのようなストーリーが商品の価値を向上させる。(仮に、ストーリーが嘘であったも、お客さんが信じていれば高く売れる。例えば、メイドイン・スイスの高級時計は、パーツ単位で見ると、ほぼ中国製らしい)
ここに大きなヒントがある。
サプライチェーンとは、簡単に言うと
「商品の誕生から消費まで(ひいては消費からさらに先の再生産や廃棄まで)の流れ」
のことで、例えばハンバーガーで言えば
- ハンバーガーのパンや肉、野菜はどこで作られた小麦を誰が作り、どこをどう経由して今手元にあるのか
といったように、手元にある商品の人生を考えることに他ならない。
私たち消費者はこのサプライチェーンを頭の片隅に置いて商品を選び、消費していく必要があるのだ。
実際に、食品に限らず、衣料品やデジタルデバイスまでもが、
サプライチェーンの透明性を明らかにする時代に入っている。
(詳しくはまた別の記事で書ければと思っている)
私たち消費者は愚かだ。
しかしながら愚かながらも裸一貫ではこれからは戦っていけない。
悪徳企業に搾取されて終わりだ。
そう、武器を持とう。
誰もが持てる武器、それがグリーンウォッシュ、SDGsウォッシュ、サプライチェーンという3つの言葉だ。