慶應卒の男三人が、東京と名古屋で企業に勤めながら、そこそこ幸せな生活を持ちつつ、歳も30代中盤に入るなかで、「このままでいいのか」と自問自答を繰り返しながら、自分たちの力で何ができるか、何かできないか(起業、NPOなど)ととにかく試行錯誤するストーリー

慶應卒の男三人が、東京と名古屋で企業に勤めながら、そこそこ幸せな生活を持ちつつ、歳も30代中盤に入るなかで、「このままでいいのか」と自問自答を繰り返しながら、自分たちの力で何ができるか、何かできないか(起業、NPOなど)ととにかく試行錯誤するストーリー

夢を売る方法の考察:「世界観」&「順次戦略」と「累積戦略」

※仲間内の勉強会用のネタを記事として投稿しています。

投稿者:Pokota

 

 我々、庶民は、コロナ禍の中でも、生きるためにお金を稼がなければならない。組織や顧客に対して、何かしらのモノ・サービスの提供することによって、毎日を食いつないでいかなければならない。こんな時代でも、こ.んな時代だからこそ、どうせ売るなら夢を売りたい。今回突然思い立って、ビジネスにおいて、「夢を売る方法」について考察してみた。

 

 一度、ここまでのお話をまとめたい。普通のモノを売るビジネスというのは、あえて単純に言えば、物理的な商品、例えばJ-POPのCDを仕入れて売って、お金に換える行為である。物理的世界ではポリカーボネートという材質に過ぎないが、CDには音楽という情報が書き込まれていて、それを聞いた人間は心を動かされる。それをヒントに、知性的世界や心理的世界に夢のようなものが存在するのではないかと考えてみた。

 サピエンス全史の上巻からは、人間の脳というハードウエアには、虚構を作り出す能力、伝える能力、信じる(信じさせる)の能力が備わっていることを学んだ。夢=虚構だと考えると、夢とは作り話のようなもので、しかし人々の心に作用して、セルフコンフィデンスやモチベーション向上をもたらすものではないかと考えた。

 カウンセリング理論からは、人間の心理的世界から夢を引き出す方法のヒントについて学んだ。人間の夢は、自我状態のなかのFC(自由な子供)に埋まっているものではないかと考えた。夢を引き出すためには、傾聴など話を聞くための基本的姿勢、その人の人生哲学を知る必要があることが分かった。 

 

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 ここでは、物理的な商品・サービスについて、「夢を売る方法」を上図にまとめた。まず初めに、自社で取り扱う商品・サービスがある。

 マーケティング学問の世界では語りつくされたことではあるが、なぜ顧客はモノやサービスを購入するのか? 第1に、その商品・サービスの物理的な特性にベネフィットを感じて顧客は購入するはずである。特に、コモディティー化した商品、100円ショップの雑貨のようなものを購入するとき、誰が売るかとか、その商品の背後にどのようなストーリーがあるかなどは、あまり重要ではない。

 しかし、少し高級な商品・サービスとなると話が変わってくる。1本1,500円のワインと15万円のワインでは売り方が変わってくる。仮に我々、庶民の舌では味の違いが分からなかったとしても、ブドウの産地がフランスの有名な畑であったり、超有名なシャトーで作られていたり、世界的な賞を取ったり、年代物だったりすると、値段が100倍くらいになるのだ。

 それぞれのワインのブドウをDNA検査すれば、99.99...%同じブドウという結果が出るだろう。アルコールの成分を実験室で分析すれば、化学的には全く同じアルコールである。商品のサプライチェーンの経路は少し違うかもしれないが、商品を手に持った消費者にとっては、99.99...%、物理的には同じワインである。余談ではあるが、昔、会社の宴会の余興として、ワインの飲み比べ大会を主催したことがあった。千円ワインと、2万円程度の価格差のワインを出題したが、ほとんど誰も安ワインと高級ワインを区別できなかった。

 ワインの場合は、原材料がどこから調達され、どこで製造されて、どのように保管され運ばれてきたかという、サプライチェーンについての情報が、どうやら付加価値となるらしい。他にも、無農薬の野菜を例にあげると、生産者の農家が何度も破産しながら、苦労して作った野菜の方が、なぜか価値を感じる。本当は、破産していない農家の方が経営が上手いはずなので、そちらの商品の方が品質がよさそうだが…。

 いずれにせよ、そのようなストーリーが商品の価値を向上させる。(仮に、ストーリーが嘘であったも、お客さんが信じていれば高く売れる。例えば、メイドイン・スイスの高級時計は、パーツ単位で見ると、ほぼ中国製らしい)

 さらに、金額が上がって、マイカーやマイホームとなると、一生に数回の買い物となるので、このストーリーの重要性が増す。もちろん車や家は、通勤や子供の通学、親が近くに住んでいるかどうかなど、もちろん物理的な条件も大きい(これについては家庭のロジスティクスというテーマでブログを書きたい)。

 同時に、この物理的な存在である車や家が、家族生活というストーリーにおいて、重要な舞台装置、場合によっては登場人物とさえなる。毎週末、愛する妻と子供と愛犬をつれて、このマイカーで郊外のイオンモールに行く。イオンモールで買ってきた食材で楽しくマイホームで夕飯時を過ごす。単にお父さんは、車や家を買うのではなく、家族と過ごす夢を買っているのだと思う。その時の感情は、「うれしい」とか「楽しい」とか、ウキウキとかワクワクといったものだろう。交流分析におけるFC(自由な子供)が引き出されている状態である。

 売る側も、単に商品・サービスの物理的な特性を説明するだけではなく、顧客にストーリーを語り、FC(自由な子供)を引き出す手助けをしなければならない。そのためにも、売る側は、そのストーリーの舞台である確固たる『世界観』を持っていないといけない。「夢を売る」我々が一体どういう存在であり、誰に、何のために「夢を売る」かについての、舞台設定・脚本(世界観)の設定を初めに決めなければならない。

 

<参考文献>

世界を変えたいなら一度"武器"を捨ててしまおう

世界を変えたいなら一度"武器"を捨ててしまおう

  • 作者:奥山真司
  • 発売日: 2012/07/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

  今回、参考文献として紹介したいのが、奥山真司氏の『世界を変えたいなら一度"武器"を捨ててしまおう』である。この本から、「世界観」について学びたい。

 

 この本から、もう一つ学びたいキーワードがある。それが、「順次戦略」と「累積戦略」だ。私も新卒の時に営業研修を受けたことがある。傾聴しろだとか、モノを売るのではなく、顧客の問題解決をしろだとか、そのような話を長時間、座学で聞かさせれた。しかし、新人が、あるべき営業理論を聞いて、現場に入って次の日から、活躍できるかというと、そういう話はあまり聞かない。やはり新人営業マンとベテラン営業マンには、理論にはない何かがあるようだ(経験?)。

 新入社員の時に、これを教えて欲しかったという内容が「順次戦略」と「累積戦略」の違いである。厳密な定義は、本で読んでほしいのだが、「順次戦略」とは、私の理解で言えば、業務マニュアルや営業研修で習うようなステップ別に分解された方法論である。会社で偉い人が作る中期経営計画や年間予算やアクションプランのように、上意下達される命令も「順次戦略」の仲間だと思う。

 では、マニュアルや中期計画やアクションプランに何がないかというと、達成する予定のステップだけ書いてあって、具体的に現場の人間が何をやればいいかが全く書いてないことである。新入社員の時に、予算と、どの顧客を攻めるというアクションプランだけ上司から示されて、さっぱり何をしていいか分からず困惑したことを思い出した。短い営業経験だったが、やはり研修で学んだ「順次戦略」を実行するには、目に見えにくい「累積戦略」が大事だと学んだ。

 本の中では、陰徳を積むことの重要性が説かれている。単に訪問件数を増やすという根性論(雨垂れ石を穿つ)や、色々な方法をとにかくためす(数打てば当たる)ことも一つだろう。人に見えないところで努力や善行をコツコツ行う(陰徳を積む)。すると、突然、ある日認めてくれる人が出てくる。このような理屈は、営業研修では、あまり教えてくれない。営業に限らず、仕事全般で役に立つ話だと思った。

 

今回の我々の勉強会では、より詳しく以下の音声教材で勉強したい。

 

www.realist.jp

 

(おわり)