慶應卒の男三人が、東京と名古屋で企業に勤めながら、そこそこ幸せな生活を持ちつつ、歳も30代中盤に入るなかで、「このままでいいのか」と自問自答を繰り返しながら、自分たちの力で何ができるか、何かできないか(起業、NPOなど)ととにかく試行錯誤するストーリー

慶應卒の男三人が、東京と名古屋で企業に勤めながら、そこそこ幸せな生活を持ちつつ、歳も30代中盤に入るなかで、「このままでいいのか」と自問自答を繰り返しながら、自分たちの力で何ができるか、何かできないか(起業、NPOなど)ととにかく試行錯誤するストーリー

夢の見つけ方&人生哲学が人生をダメにする理由

※仲間内の勉強会用のネタを記事として投稿しています。

 投稿者:Pokota

 

 我々、庶民は、コロナ禍の中でも、生きるためにお金を稼がなければならない。組織や顧客に対して、何かしらのモノ・サービスの提供することによって、毎日を食いつないでいかなければならない。こんな時代でも、こんな時代だからこそ、どうせ売るなら夢を売りたい。今回突然思い立って、ビジネスにおいて、「夢を売る方法」について考察してみた。

 

 前回は、夢は虚構であるという身も蓋もない話をした。今回3回目は、顧客などの相手を想定して、夢を掘り起こす方法について、心理学をヒントに考えたい。

 20代の中頃、カウンセラーを目指して心理学の勉強をした。産業カウンセラー交流分析士、REBT心理士な、アドラー心理学ヒプノセラピーアサーション、アンガーマネジメントなどを勉強した。結局、カウンセラーにはならずに、現在も全く関係のない仕事をしている。

 今回のお題であるビジネスにおいて、「夢を売る方法」について、何か役に立つ情報がないかと思い、ビジネスは関係なく、カウンセリング心理学的に夢を見けるのに役に立つのではと思った方法について紹介したい。

 

※実際に勉強したのは10年近く前のことで、当時のテキストも見つからないため、記憶を頼りに説明しているので、厳密には正しくない点が含まれていることを、あらかじめご容赦いただきたい。

 

 

<参考動画>カウンセリングの入り口、傾聴の学習


「傾聴」の学習

 

 接客も、営業も、カウンセリングも、顧客/クライアントの悩みの解決(問題解決)の仕事である。しかし、いきなり問題解決しますよ相手の心の門を叩いても、大抵の場合、相手にはしてもらえない。飛び込みの営業をしたことがあればわかるが、どこの誰と分からない相手に、いきなり悩みを相談する人はいない。まず、初めに玄関を開けてもらうための作法が必要である。それが傾聴である。

 傾聴とは、話の聞き方のテクニックという捉え方ができる。上の参考動画にも出てきた通り「受容」と「共感」というキーワードにある通り、話し手の言うことを評価や批判をせずに受け入れる、話し手の気持ちを自分の気持ちのように感じながら聞くというということが重要になる。これだけなら簡単そうに感じるかもしれないが、産業カウンセラーの講座では半年かけて訓練を行う内容であり非常に奥深い。

 訓練は受講生同士、ペアを組んで、話し手役、聞き手役に分かれて行う。私の経験の話であるが、傾聴が上手くいくと、時々、話し手役が泣き出すことがある。なお、傾聴の訓練では、自分の意見を話したり、助言をすることは禁止されている。ただ、話を聞いてもらうだけでも、話しているうちに自分の問題がクリアになったり、カタルシス効果があるなど、傾聴だけで十分カウンセリングが成立するほどのパワーがある。

 学校の先生や親から、いきなり「お前の夢は何か?」と聞いても、子供は正直に答えないだろう。それは、学校の先生や親が、ある意味信頼されておらず、どうせ話を聞いてもらえなかったり説教されることを恐れて心を閉ざしている状態である。相手に、話してもいいんだと、心理的な安全性を確保し、ラポールといわれる状況が確立して初めて、夢を話してもらえる。

 

<参考動画>ABC理論について


【ABC理論】ネガティブ思考から逃れる方法

 

<参考リンク>

技法について-REBTの感情へのアプローチ- | 日本人生哲学感情心理学会

 

 次に紹介する論理療法は、認知の歪みを論理的な説得によって修正する技法である。簡単に説明すると上の動画のABC理論のようになる。ABC理論における、Aは出来事(Activating Event)、Bは考え方(Belief)、Cは結果(Concequence)を意味している。同じ、A.出来事であっても、人によってB.考え方が違うので、それによって湧き上がる感情、その感情の結果としての行動(C.結果)が変わってくるという理論である。

 同じ出来事でも、人によって、もっている考え方によって、感じ方やリアクションが全然違ってくるのだ。例えば、先生が、生徒Aと生徒Bを成績が優秀だったので褒めたとする。生徒Aは普通に、褒められたことを喜び、さらに勉学に励んだ。しかし、生徒Bは、目立つことは良くないことだと考えていたので、恥ずかしいと感じてしまい、以後のテストではわざと手を抜くようになってしまう。

 考え方(Belief)は、ある物事が好きか嫌いかという浅い問題から、人生をどう生きるか、人生をどう生きたいかについての人生哲学に関わる深い部分まで関わっている。好きか嫌いかというレベルであれば、それでも人の考え方を変えるのは難しいことがわかるが、まだ説得の余地がありそうな気がする。

 人生哲学のような性格の根っこのレベルは、本人すら気付いていないもので、そのような考え方を、他人が変えることは非常に難しい。とはいえ、この無意識に持っている人生哲学が人生に与える影響は大きい。無意識に持っている人生哲学に基づいて行った日々の判断の積み重ねが、その人の人生そのものになる。ネガティブな人生哲学が人生そのものをダメにすることもある。

 例えば、先生が生徒に対して、「お前の夢は何か?」と聞いたとする。ポジティブな人生哲学を持っているAさんからは、おそらく、前向きで聞いているだけでもワクワクするような夢が出てくるだろう。一方でネガティブな、人生哲学を持っているBさんからは、「別に夢なんかない」といった回答か、かなり控えめで消極的な夢が出てくるだろう。長い期間でAさんとBさんの人生には大きな差が出る。建設的な夢を持ってもらうためには、その人の人生哲学をポジティブなものに変えていく必要がある。

 

<参考動画>エゴグラムについて
交流分析エゴグラム NPO日本次世代育成支援協会 鷲津秀樹

 

 されに、交流分析という手法についても共有した。講座を受講して何か月かにわたって勉強した内容なので、全ての内容を簡潔に説明することは非常に難しい。上の動画では、交流分析の理論で、一番有名なエゴグラムという心理テストに、トライできるのでチャレンジしてほしい。交流分析とは簡単に言えば、ここにでてくる5つの自我状態をベースに、個人の感情の分析や、コミュニケーションの分析ができる理論である。

 5つの自我状態とは、養育的な親(NP:NurturingParent)、規範的な親(CP:CriticalParent)、大人(A:Adult)、自由な子供(FC:FreeChild/NaturalChild)(自然奔放)、従順な子供(AC:AdaptedChild)のことを指す。NPとCPというのは、簡単に言ってしまえば、親や他人に埋め込まれた価値観により作られた自我状態である。一方で、FCやACは、幼少期の経験を基に作り上げた自我状態である。Aというのは、親や他人の価値観でもなく、子供染みた考えでもなく、今ここで合理的・論理的に考えている状態。

 夢の話に戻ると、あなたの夢は何ですかと聞かれたときに、どの自我状態で夢を考えているかが重要だと思う。それは、親や他人に埋め込まれた夢だろうか? それとも子供のころの自分が考えた夢だろうか? 私は自由な子供(FC:FreeChild/NaturalChild)の意見が重要ではないかと思う。自由な子供(FC)には、うれしい、楽しい、ワクワクといった人間が生まれながらに持つポジティブな感情が詰まっている。

 クライアントの中の子供の自我状態にコンタクトする方法としては、ヒプノセラピーなどの手法があるが、まずはコミュニケーションを通じて相手の自由な子供(FC)を引き出すことを心がけることが定石だろう。

 

 以上のように、カウンセリング理論を通じて、主に相手(クライアント/顧客)の夢を見つける方法について考えてみた。まず、傾聴により、相手の話をよく聞き、こころを開いてもらう。さらに話を聞き相手の考え方(Belief)がどのようなものであるかを知る。建設的な夢を持ってもらうためには、人生哲学をポジティブなものに変えていく必要がある。

 自由な子供(FC)の自我状態に働きかけ、親や他人に埋め込まれた夢ではなく、本人がうれしい、楽しい、ワクワクといった人間が生まれながらに持つポジティブな感情から出た夢を話してもらう必要がある。

 

 次回は、これまでの話をまとめて、ビジネスにおいて、「夢を売る方法」について考察してみたい。

 

(つづく)