人間は嘘で動く!虚構、プロパガンダ、夢
※仲間内の勉強会用のネタを記事として投稿しています。
投稿者:Pokota
我々、庶民は、コロナ禍の中でも、生きるためにお金を稼がなければならない。組織や顧客に対して、何かしらのモノ・サービスの提供することによって、毎日を食いつないでいかなければならない。こんな時代でも、こんな時代だからこそ、どうせ売るなら夢を売りたい。今回突然思い立って、ビジネスにおいて、「夢を売る方法」について考察してみた。
今回、第2回目となるが、ここでは人類がなぜ夢という虚構を信じる性質を持つのかについて、人類の進化の歴史から考えていきたい。ここでは、ユヴァル・ノア・ハラリ 氏の『サピエンス全史(上巻)』と、その解説動画などを参考とした(ページ下部にリンクを記載した)。
まず前回紹介した3つの世界論を使って人間(ホモサピエンス)とは何かについて考えてみる。よく、人間のDNAは50%バナナと同じ、99%チンパンジーと同じらしい(異論もある)と言われる。DNA(設計図)レベルを基準に考えると、物理的な世界においては、チンパンジーと人間は、多少腕が長さが違うとか、腕毛が濃さが違うなどあるかもしれないが、ハードウェアとしては大差ないということになる。素材で考えても、分解すれば、炭素やカルシウムや水など成分も同じである。人間にしか使用されていない、貴金属など存在しない。
ではチンパンジーやサルたちと、人類の違いは何かだろうか? 一般に、「直立二足歩行」、「道具が使える」、「火が使える」、「言語が使える」という能力の違いが挙げられる。例えば、同じ冷蔵庫というジャンルでも、単に冷やすだけのものから、チルド冷凍できたり、AIスピーカーが付いていたり機能が違うものがある。我々は、それらの機能を持って、我々、ホモサピエンスが地球上でユニークな存在だと考える。
しかし、実は人類には、現在生き残っているホモサピエンス以外にも、いくつかの種族が存在したらしい。有名なところで、ホモ・ハビリス 、ホモ・エレクトス 、ハイデルベルグ人、ネアンデルタール人などがいた。実は、彼らも「直立二足歩行」、「道具が使える」、「火が使える」、「言語が使える」という能力は持っていたそうだ。
では何故ホモサピエンスだけが、他の人類を圧倒し、生き残ったのか? その要因が認知革命にあると言われる。言葉を構造化することによって、噂話や虚構(嘘)を扱えるようになったのだ。我々には守護神がいる、我々は神に守られているという虚構によって、他の人類にはなかった大きな人数の群れをまとめることができるようになった。
この虚構によってホモサピエンスは実力以上の力を出せるようになったのだ。「我々は守護神に選ばれた者である。この戦いに勝てば、地上より素晴らしい場所に生まれ変われる」などという虚構を作り出す能力、伝える能力、信じるの能力があったので、ネアンデルタール人に勝てたらしい。
この性質は、当然、現代人にも受け継がれている。事実は別にして、自分が特別に選ばれた人間で、努力をすれば成功を約束されていると本気で信じている人間は強い。明確な目標(夢)と、達成へのモチベーションを持っている人は、目標(夢)を持っていない人よりも、やはり強い。3つの世界論を使って説明すると、目標(夢)という虚構(知性的世界)が、人間のモチベーション(心理的世界)に働きかけ、結果、目標達成という目に見える形で物理的な世界に現れるということだろう。
虚構を作り出す能力、伝える能力、信じる(信じさせる)の能力というのは、人間に備わった非常に根源的な能力であり最も強力なものである。今回の我々の勉強会では、サピエンス前史の知識を前提しつつ、応用編として、虚構を作り出す能力、伝える能力、信じる(信じさせる)の能力について、下記の教材を使って勉強したい。
奥山真司氏『プロパカンダ&セルフプロパカンダ』
http://www.realist.jp/propaganda.html
副題は、「欧米人のように日本人が自分を売り込むメソッド」となっており、「夢を売る方法」とは、一見関係がないように見えるかもしれない。さらに、奥山真司氏は、リアリズムと戦略論の専門家なので、我々の「夢を売る」という当初のポジティブなものから、少々血生臭い内容とはなっている。しかし、虚構を作り出す能力、伝える能力、信じる(信じさせる)の能力について扱った他にない教材なので、ぜひ、深くエッセンスを学び、世の中を善くするために使いたい。
次の投稿では、「人生哲学が人生を滅ぼす」と題して、カウンセリング心理学からヒントを得て、悩んでいる人に夢を持たせる方法ついて考察してみたい。
(つづく)
<参考書籍>
<参考動画>
岡田斗司夫ゼミ#227(2018.4)灯台下暗し! ぼくらは何者なのか? 文明の構造とは? 人類の幸福とは? 特集・サピエンス全史